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【ゲスト:jMatsuzaki】Notionを使ったタスク・プロジェクト管理術
今回は「Notion達人図鑑」という新たなシリーズでのご案内です。
Notion 達人図鑑とは、日頃から Notion を使い込んでいる「Notion の達人」にどのような使い方をしているのかをインタビューし、活用法を紹介するシリーズです。記念すべき達人図鑑の第1回目のインタビューは、TaskChuteCloud クラウド開発者の jMatsuzaki さんです。
システム屋から音楽家へ!6年半の会社員生活を経て26歳でブロガーとして独立。小学生から夢だった音楽家へ。のっぴきならない現実を乗り越えて、諦めきれない夢に向かう生き方を伝える30代前半の夢見るリアリスト。2018年よりドイツ・ベルリン在住。
jMatsuzaki株式会社 代表取締役。
jMatsuzakiさんにインタビュー
記念すべき達人図鑑の第1回目のインタビューは、TaskChuteCloud クラウド開発者のjMatsuzakiさんです。
―― jMatsuzakiさん、本日はどうぞよろしくお願いします。
はい。私の愛しいアップルパイへ、jMatsuzak i です。よろしくお願いします。
―― まずは自己紹介からお願いします。
TaskChuteCloud というツールを運営する会社を経営しております「jMatsuzaki」です。TaskChuteCloud というメソッドをクラウド上で実践するツールや、BtoB系のシステム開発を中心としたシステム会社を運営しています。
また昨年、一般社団法人TaskChuteCloud 協会という、TaskChuteCloud の考え方を広めていくことをミッションとした独自の組織を立ち上げました。
今日はタスク管理のディープな話を一緒にできる嬉しさで、気合いが入ってます。
――ありがとうございます。私もワクワクしています。最初に、jMatsuzaki さんの Notion使用のきっかけを教えてください。
使い始めたのが2019年の後半くらいなんですよね。2019年の最初の方に1度見て「こういうのが出てきたんだな」と思ったのですが、当初はあまりピンとこなくて。
後半くらいになって「これはちょっと他と違うっぽいな」と感じて、使い始めました。
それまで「Evernote」というアプリを使ってたんですが、何かそれがちょっと僕の中で物足りなくなっていたところで。
Evernote 自体は、その時点でもう10年くらい使ってたんですが、もう少しいい方法はないかなとアップデートしようと思ったところで、Notion に出会いました。
――僕も10年間Evernote 使い続けて、2019年に引っ越したので、すごい親近感です。Evernote 時代、そして Notion に引越し後、どのように使っているのかお伺いできますか?
Evernote は元々ライフログメインでした。やったことをログとして残したり、日々の写真を残したり、ログをデジタルにして保存していくみたいな場所として使っていました。
Notionを使い始めた時も、それができればいいかなと思っていたのですが、使ってみたらログを取っておくだけじゃなく、もっといろんなことができるなと。
今はログを取るだけではなく、タスクを登録、プロジェクトを管理するなどの母艦にして、仕事上のさまざまなプロジェクト関係の情報はほぼ Notion に統合できたんですよね。
それまでは、Evernote はログ、タスクはまた別のサービス、プロジェクト管理やスケジュール管理のためにまた別のサービスを使ってと、いろんなクラウドサービスを使っていたのですが、それらを全て Notion に統合できたみたいな感じです。
jMatsuzaki さんのNotion の中を拝見
全ての情報を一元管理できる、Notionの良さはまさにここにあります。ここからは、いよいよjMatsuzaki さんのNotionの中身について具体的にお伺いしていきます。
――早速ですが、jMatsuzaki さんのNotion の中身を見せていただけますでしょうか。
こちらが「ダッシュボード」というタイトルのページなんですが、日々使う必要な情報をまとめて表示する仕様になっています。
今、表示してるのはタスクリストですが、上に行くと日記のデータベースが表示されてたり、読書のログなど、必要なものが全てまとまっています。基本的にこのページを1日中、開きっぱなしにして仕事をしています。
――いろいろ見せていただきたいところがてんこ盛りですが、1日のタスク管理の流れから教えていただけますか?
使っているのは、基本的な「タスクリスト」というタスクデータベースです。
これと私が開発したツール「TaskChuteCloud 」、常にこの2つを見ながらタスク管理しています。
Notion のタスクリストは、キーになる重要が高く、実行履歴を残したいものを掲載しています。それ以外の細かいものは、TaskChuteCloud にしか載せていないです。粒度を分けて使っています。
1日の中では、細かく1分単位のタスク管理をTaskChuteCloud で行っているので、基本はこれを上から順に実行していくみたいな感じです。
途中で開発タスクなどが出てくると、作業が込み入ってくるのでNotion に移動して、その該当するタスク上でメモを取りながら行う、というスタイルです。
TaskChuteCloud と Notion を連携して運用
jMatsuzakiさんが開発されたTaskChuteCloudとNotion、2つのツールをどのように連携して活用されているのか具体的にお伺いしていきます。
――プログラミングのところは、TaskChuteCloud 側だとプログラミングというタスクになっていますが、Notion だとどんな表現になるのですか?
ほぼ同期しています。
例えば、マイページの開発タスクだとすると「Implement Mypage」と、どちらも全く同じタスク名で登録しています。基本的に手動で同じ名前にして同期するようにしています。
―― メモを取るのは Notion 、タスクの時間のトラッキングは TaskChuteCloud で行っているということですね。同期のタイミングは TaskChuteCloud をやりながら、Notion を更新するという感じでしょうか?
そのパターンが多いですが、もちろん逆もあります。どっちのツールも常に開きながら、気になったものは都度、情報をアップデートしています。
作業する中で「今はできないけど明日の作業にはこれが必要」みたいなことが出てくると思うんですよね。
その都度、こっちに書き込みつつ、こっちに何かメモとか、ツールを行き来するという感じですね。
――タスク実行のタイミングですが、Notion に記入したタスクを TaskChuteCloud に登録して、しかるべきタイミングが来たら、それが実行されるというイメージでしょうか。
そうですね。毎朝仕事の始めにNotion と TaskChuteCloud の現在の状態を確認します。「これは Notion から TaskChuteCloud に登録しよう」とか、逆に 「TaskChuteCloud の方にしかないから Notion にも登録しておこう」みたいにして、情報整理の時間を大体15分くらい取ってますね。
毎朝15分くらいやっているので、情報が古くなったりとか、何か足りないなみたいなことはなくなります。
――入力のタイミングや方法など、みなさんも気になるところかなと思うのですが。実際にはどのような操作をされてるのか、流れのようなものを教えていただきたいです。
タスクというデータベースの他に、デイリージャーナルというデータベースも作っています。
最初にジャーナルで今日の分のノート「Today」を作成するところからスタートします。
これを作成する目的は、日々の走り書きなどメモとしての機能を持たせることと、その日に行ったことを集約するためです。
次に Weekly Focus などなど、タスクに関連する他のノートなどの項目をチェックしています。
Weekly Focus では、今週やっておいた方がいいなというリストを5つピックアップするようにしています。
タスクリストは膨大になって毎日見るのって、実はすごく大変なんですよね。
なので、週に1回全てのステータスを未着手の状態に戻して、タスクリストを空にしています。その上で、次の週にやるべきタスクをピックアップします。
それが全て終わると、最新のタスクリストに更新されるので、その中から今日やるべきことをピックアップして「Today」に設定していきます。
その内容が TaskChuteCloud にも登録されているかを、このタイミングで確認します。これがデイリージャーナルのTodayとリレーションしているので、1日の情報が自然と集約される仕組みになっています。
ーー その日やったことはジャーナルに紐づいているので、管理しやすいですね。
ジャーナルを開いたときに、関連付けられたノートが全部目に入るのでとても便利です。タスクから見ても、今日の分のジャーナルを見ても、今日のタスクがわかる。
他のノートの今週の目標みたいなものも出せるし、「今日」に紐づくいろんな情報がジャーナルに集約されていくので。ジャーナルを介して日付を管理するっていうのは結構意識してますね。
―― ジャーナルのタイトルの付け方にルールはありますか?
今日の分は「Today」というタイトルに固定してリレーションをしているのですが、過去のものはリレーションする必要がなくなるので、個別にタイトル設定しています。
「今日を思い出すとしたら多分この出来事」みたいな感じで、今日のハイライトを1個決めてタイトルを決めています。
例えば、照り焼きフィッシュを作ったら、ものすごく美味しかったので「めっちゃ美味しかった」と命名したり。ナポリに行った日は「ナポリ」とタイトルをつけることで、後から検索しやすかったり、思い出しやすかったりします。
―― その日一番インパクトが大きかった出来事をタイトルに入れて、後から思い出しやすくするシステムなんですね。
当初、日付にしてたんですけど、データのプロパティは別のものがあるので、日付だらけになってしまって。せっかく( Notion の表の中でも)一等地なので、何かいい方法はないかと考えた結果です。
カバー写真もその日を象徴する写真を入れることでタイトルと紐づけて思い出しやすくなるんです。Notion はギャラリービューが特徴的なので。
―― これはいいですね。人間って文字情報よりも、ビジュアルの情報の方が思い出しやすいみたいですし。
そうですね。なので、毎日必ず1枚は写真を撮ると決めています。1日ずっと家に引きこもっている日もあるので、対策として食べたご飯は必ず撮っています。
――なるほど。撮る写真がない人は、ご飯がおすすめということで(笑。いろんなTipsが散りばめられているので、早速、真似しやすいところから取り入れたいです。
本当に何もなかった日は、ブラウザの履歴からスクショを貼るのもおすすめです。Notion は新しいツールなので、すごく便利だけど触らなくなっちゃうことってありますよね。
それを防ぐために「1日1回これはやる」みたいなことが決まってると、定着しやすいので。
今日のノートを作って「今日のタイトルと今日を象徴する写真だけカバーに登録する」みたいなことだけでも決めておくと、少なくとも1日1回は Notion を触ることになるので。最初の習慣づけの意味でもおすすめです。
―― タイトルと写真なら、ハードルもそんなに高くなくていいですね。
これまでの日記だと、自由記述のところしかないのですが。Notion は本文以外にもプロパティとして、データを追加できるのがいいところだなと。「今日の日記+今日のデータ」が1ヶ所にまとまる。何年も各種ツールがバラバラで紐づけできず苦慮していましたが。
「定性的な情報と定量的な情報が同時に紐づく」これが Notion 移行の決定打でした。
実は日々の「満足度」を5段階評定でスコアにして出しているのですが。月に何度か「5」がついていることがあり。この日を分析すると、およそ何時に起きて、何歩歩いて、何をしているかのパターンが見えてきて。
調子がよかった要因がジャーナルのデータの中に埋め込まれているので、それを繰り返していけば、再現性高くハッピーな人生になるかなと。
逆にあまり上手くいかなかった日は「調子良かった日って何をやってたかな?」という振り返りにも使えて。アイデアのストックになると思っています。
3大データベース「ジャーナル」「タスク」「プロジェクト」
ジャーナルについて熱く語っていただいたところで、他に思い入れのあるページなどお伺いしてみました。
―― ジャーナル以外にこだわりのあるページはありますか?
僕の中では、3大データベースがありまして「ジャーナル」「タスク」そして「プロジェクト」です。
タスクデータベースではタスクに必要な情報は書けますが、プロジェクト全体の状況が見えずらい。なので、プロジェクト全体のスケジュールやマイルストーンは、プロジェクトノートで管理しています。タスク化できない課題を可視化するのにも便利です。
具体的に何をすればいいかわらないけど、どうにか解決しないといけない課題など、プロジェクトごとに管理する必要があるものや参考資料をまとめています。
「ジャーナル」「タスク」そして「プロジェクト」この3つがあったら、ほぼ回る気がしますね。
――jMatsuzaki さんの中でのプロジェクトの定義と、タスクの定義ってどう決めていますか?
これね……難しいですよね。教科書的な回答でよく言われるのは、ゴールが単一で、タスクが複数ある場合はそれはプロジェクトだと。
例えば「引越し」。引越しというゴールは明確に1つあって、本をパッキングしたり、引っ越し業者を探したりとか複数のタスクがそこにはあって。引越しのプロジェクトだと「2つ以上のタスクが紐づく」みたいなことになるんですけど、でも実態は結構曖昧ですよね。
僕の場合は、プロジェクト、タスク、さらに細かいものが TaskChuteCloud に入って3段構の粒度になっています。
1. Notion 上で管理するプロジェクト
2. Notion 上で管理するタスク(20分〜2日程度)
3. TaskChuteCloud で管理するタスク(細かいタスク)
この3つの入口があって、最初にどこに入れるかはケースバイケースで入っています。
続けてみて、話が大きくなったらプロジェクト化しないといけないなとか、やってみたらイマイチだったなというものはプロジェクトにならずに、タスクのままフェードアウトしていったり、というのが実態です。
――理解できました。とてもシステマチックで美しいですね。
あとは、意外と個人的にプロジェクトノートで一番役に立っているなと思うのが「議事録」。プロジェクトごとに、会議のたびに議事録を書くんですけど、これが非常に役立っています。
―― 議事録を取る際のフローを簡単に教えてもらえますか?
「イベントリスト」というデータベースに日々実行する予定が入ります。これは Googleカレンダーと連携してしていて、毎日0時になると、その日の分が登録されます。
朝起きたら、今日の予定が登録されているので、プロパティからプロジェクト登録すると、そのプロジェクトの議事録として記録されていくシステム。なので、イベントリストがそのまま議事録になっていく流れです。
これがあると「議事録書くの面倒だから、今回は省略しようかな……」ということを防止できます。
ーー Googleカレンダーから自動でデータ作成されるということですが、どういう仕組みで行われているのでしょうか。
これは Zapier (ザピアー)を使っています。Googleカレンダーの情報を Zapier で引っ張って、Notion に落とし込む仕組みです。
会議が始まったときには Googleカレンダーで連携済みのノートができているので、「議事録を作成する」手間が省ける&記入すべき枠ができているという点でかなり書きやすいです。会議中に内容をメモしながら、会議熱が高まって「みんなで共有した方がいいな」となった場合には、議事録のURLをその場で共有できるのもNotionの強いところだなと。
リアルタイムに更新していくと、みんなの作業場所がそのまま議事録にもなるので、とても助かっています。そのとき必要なメモを取っていった結果、必要なログが残ってくという気持ち良いフローが生まれるので、議事録データベースはかなりおすすめです。
まだまだ面白い話がたくさん続くのですが、長くなってしまうので前編はここまで。
後編では Zattelkasten (ツェッテルカステン)と呼ばれるノート作成方法について熱く語ってもらいます。
後編もお楽しみに。
※ 今回の内容は、こちらの動画でもご覧いただけます。